カメラの性能を大きく左右するのはレンズの性能であり、カメラメーカー各社は自社の技術力の高さを誇示するためにレンズの開発に膨大なリソースを割いています。
さて、そんなカメラレンズですが、メーカーによって自社のレンズにブランド名(愛称)を付けていることをご存知でしょうか。
有名なところではニコンのニッコールレンズなどがありますが、そのようなレンズのブランド名はどのような由来で付けられたのかまとめてみました。
そもそもレンズという名称の由来は何か?
メーカーそれぞれのレンズの名称の由来を紹介する前に、まずは「レンズ」という言葉がどういった由来を持つのかについてご紹介します。
そもそもレンズというものがいつからあったのかというと、実は紀元前から存在していました。
もちろん、その当時はレンズという言葉は使われていませんが、中心部が厚いガラスや水晶などを使って光を集めて火をおこすための道具として用いられました。
その後、15~16世紀になると望遠鏡や顕微鏡、カメラ、メガネなどにレンズが使われるようになりますが、この頃にレンズという名前も生まれたと言われています。
なぜ凸レンズのことをレンズと呼ぶようになったのか、その由来はレンズ豆にあります。
レンズ豆は西アジアを原産とするマメ科の植物の一種で種子の形状が凸レンズに似ていることから名付けられました。
ちなみに、レンズ(lens)はギリシア語ですが、英語では眼の水晶体のこともレンズと呼びます。
レンズブランドの名前の由来
では、それぞれの企業の由来を見ていきましょう。
・ニコン
ニコンのカメラレンズの名称は「ニッコール(NIKKOR))レンズ」です。
ニコンは、もともとは「日本光学工業株式会社」という社名であったため、社名の日本光学→日光→NIKKORとなったのが名称の由来です。
ちなみに、なぜNIKKOの後に「R」を付けたのかということですが、当時は語尾に「R」が付いているレンズブランドが多かったため、その慣例に習っただけで、それ以外に特に意味はないそうです。
・ペンタックス
ペンタックスといえば、国産で最初の一眼レフカメラ「アサヒフレックス」を発表したことで有名ですが、ペンタックスのかつてのカメラには「Takumar(タクマー)」という名称のレンズが使われていました。
このタクマーという名称は、ペンタックスの創業者と関係が深かった芸術家の梶尾琢磨氏に由来するものですが、「切磋琢磨」という意味も込められていると言われています。
なお、タクマーという名称が使われていたのは1970年代までであり、現在はペンタックスというブランド名に統一されています。
・ミノルタ
ミノルタ(現在はコニカミノルタ)のカメラに使われているレンズの名前は「ロッコール(ROKKOR)」です。
戦前の光学機器メーカーでは研磨やコーティングなどの各工程を外注しているケースがほとんどですが、ミノルタは一連の工程を自社工場で行うことで質の高いレンズを製作することが可能であり、ロッコールも高い評価を受けました。
ロッコールの名前の由来ですが、ミノルタの創業地が六甲山であったことから六甲(ROKKO)にちなんで付けられました。
語尾に「R」が付いているのはニッコールと同じ理由です。
・オリンパス
オリンパスのレンズの名称は「ズイコー(ZUIKO)」です。
戦前のオリンパスは「高千穂製作所」という社名で体温計などの製造・販売を行っていましたが、1930年代になると「瑞穂光学研究所」という子会社を設立してレンズの生産に乗り出しました。
そして、新しく開発したレンズに対して研究所の文字を取って「吉兆のしるしとなる光」という意味を持つ「ズイコー(瑞光)」と名付けました。
・キヤノン
キヤノンは現在では基本的にレンズに特別な名称を付けてはいませんが、1930年代に初めて自社で開発したレンズには「セレナー(SERENAR)」という名前が付いています。
このセレナーという名前は社内の公募によるもので、「月の女神」という意味があります。
まとめ
カメラ好きの人ならメーカーによってレンズに名前が付いているということは知っていても、その由来まで理解している人はあまり多くないのではないかと思います。
ぜひ覚えて、仲間に自慢してみてはいかがでしょうか。
現在のレンズには使われていない名称も多いので少し残念ですが、名前にどのような思いが込められているのかを知ることで、レンズにこれまで以上の愛着を感じることができるかもしれません。
以上、レンズの名前の由来についてについてでした。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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